実体験記:胆汁性胆管炎(PBC)の診断までの道のりと発見の重要性

闘病記録

この記事では、筆者自身が経験した「原発性胆汁性胆管炎(PBC)」の診断に至るまでの道のりと、早期発見の重要性について詳しく書いています。

PBCは、自己免疫性の肝疾患で、進行すると肝臓に深刻なダメージを与える可能性があります。

しかし、その初期段階では自覚症状が乏しく、気づかないうちに病状が進行してしまうことが少なくないそうです。

私の場合は、別の病気の血液検査の結果が異常値を示して、その原因を調べるのに、4つの病院で3か月かかってようやくPBCの診断がくだりました。

読者の皆さんには、PBCがどんな病気なのか、PBCの診断に至る過程で感じた不安や葛藤も正直に書いていますので、同じ症状に悩む方や、自己免疫性の肝臓の病気に関心のある方にとって、この記事は参考になるので、是非読んでみてください。

胆汁性胆管炎とは

指定難病93

胆汁性胆管炎(PBC)は、以前は原発性胆汁性肝硬変と呼ばれていた慢性進行性の自己免疫による肝疾患です。

現在は、「指定難病93」になっています。

この病気は肝臓内の小さな胆管が壊れることで起こり、胆汁の流れが滞ります。

肝臓は胆汁を作り、消化を助ける役割を持っていますが、PBCでは胆管が損傷し、肝臓の機能が低下します。

その結果、肝臓の細胞が破壊され、線維化が進行し、最終的には肝硬変や肝不全を引き起こしていまいます。

かゆみも大きな特徴

PBCが進行すると、皮膚がかゆくなることがあります。

これはPBCの特徴的な症状の一つです。このかゆみ(掻痒感)は、胆汁の流れが悪くなり、体内に胆汁酸が蓄積することによって引き起こされると考えられています。

かゆみの程度は患者さんによって異なり、日常生活に支障をきたすこともあるため、治療お必要になることがあります。

特徴的な血液検査の結果

血液検査ではALPやγ-GTPの値が高く、抗ミトコンドリア抗体(AMA)が検出されます。

診断に至るまでの経緯

診断に至る経緯を病院ごとに日にちを付けて説明していきます。

かかりつけ医での診察と検査(2017/2/17~2/21)

2017/2/17

かかりつけ医では、2005年から免疫疾患である乾癬性関節炎の治療を受けており、月一度の血液検査を続けています。

そして2017/2/17の血液検査で、胆道系酵素のALPが2440(基準38~113以下)γ-GTPが950(基準13~64)というとんでもない異常値が出ました。

2017/2/21

異常値の原因を探るために、腹部エコーで胆のうに25mmのポリープが見つかり、日赤病院で精密検査を受けることになりました。

胆のうに25mmのポリープ、これはてっきり胆のう癌と思い、「胆のう癌とは」「胆のう癌の治療」とかをネットで調べまわりました。

日赤病院(2017/2/22)

2017/2/22

消化器内科で、胆のう癌を疑い、腹部エコー、CT検査、腫瘍マーカのチェックしましたが、胆のう癌の可能性は低いと言われました。

ただ、胆道系の酵素が高い原因は不明。

それで、中国地区で、すい臓・胆のう・肝臓の随一の専門医のいる尾道の病院で、調べることになりました。

尾道の病院(2017/3/10~3/14)

2017/3/11

検査入院した尾道の病院では、札幌から超音波内視鏡の手技では日本一と言われる先生の勉強会が予定されていて、その先生の手技の勉強会のクライアンントに選ばれました。

主治医からは、「ラッキーだね」と言われたことを覚えています。

勉強会では、すい臓・胆のう。肝臓の専門の先生や内視鏡のメーカー関係 計100名の前で、私の膵臓・胆のう。肝臓を超音波内視鏡で検査されました。

超音波内視鏡は、内視鏡と超音波装置を組み合わせた医療機器です。内視鏡で体内を直接観察しながら、超音波で臓器や組織の詳細な画像を取得できます。これにより、消化器系の病気の早期発見や診断、治療が可能になります。

2017/3/14

1時間にわたる超音波内視鏡検査の結果、胆のうのポリープは「胆泥(たんでい)※胆汁の泥」と判明しました。

超音波内視鏡検査の間、体へのしんどさはほとんどありませんでした。

ただし、膵臓と肝臓に炎症があり、自己免疫性疾患の可能性があると診断され、まだまだ詳細な検査が必要ということで、大学病院の消化器内科のすい臓の専門医を紹介されました。

大学病院(2017/3/27~2017/4/6) 

大学病院では、「胆泥」の治療とすい臓、肝臓の炎症度合、胆道系酵素が高くなった原因を探しました。

2017/3/27

大学病院では、造影CT、X線、心電図、超音波内視鏡の検査を受けました。

膵炎など大きな炎症は見られませんでした。

2017/3/28

超音波内視鏡(カメラ)を使って胆道(胆嚢や胆管)・膵管(膵臓の管)に造影剤を注入し、これらの管の状態をレントゲンで見る検査(内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP))が実施されましたが、40分の検査、麻酔は使ってくれていたが、ほんとうにしんどかったです。

尾道での勉強会、大学病院と超音波内視鏡は2回経験しましたが、手技によって、患者の負担は、こんなにも違うのかがわかりました。

ERCP(endoscopic retrograde cholangiopancreatography)とは、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(は、内視鏡(カメラ)を口から入れて食道・胃を通り十二指腸まで進め、胆管や膵管に直接細いチューブを介して造影剤を注入して、胆嚢や胆管及び膵管の異常を詳しく調べる検査です。

2017/3/30

胆泥の治療として、鼻から入れたチューブで胆泥を排出する処置が行われました。

しかし、チューブが外れてしまい、最終的に十二指腸乳頭部を切開して自然排出を促す処置がされました。

2017/4/3

4/3の朝の血液検査で、ミトコンドリア抗体(AMA)が陽性で、胆道系酵素(ALP、γ-GTP)の値がまだ高い状態が続いているので、胆汁性胆管炎の疑いが出てきました。

そして、診断を確定するため、肝生検を実施することになりました。

2017/4/4

肝生検とは、肝臓の組織を少量取り出して詳しく調べる検査です。

細い針を使って肝臓に直接アクセスするため、技術的に難しく、慎重な操作が必要になります。

多くの研修医に囲まれ、最初の医者は、うまく処置できず、指導医の先生に代りました。

交代のやり取りを聞いていて、ドキドキしました。15分で終わると聞いていたのに、30分かかりました。

病理診断科の診断管理医によって、所見は「原発性胆汁性胆管炎の初期像として矛盾しない」として、私の診断が下りました。

大学病院(2017/4/17~2024/2/7) 

2017/4/17

肝臓の専門医の診察を受け、治療が始まりました。以後2017年4月17日から2024年2月7日まで、大学病院に通うことになりました。

大学病院は、4/6に退院しました。退院時には、今後は、肝臓の専門医を受診して治療を続けることになりました。

そして、2017/4/17から足掛け約7年間、2024/2/7まで大学病院に通うことになりました。

まとめ

胆のうにポリープが見つかったことをきっかけに、さまざまな検査と診察を経て最終的に胆汁性胆管炎(PBC)と診断されるまでの道のりをお話ししました。

診断に至る過程は決して簡単ではなく、不安と向き合う日々でした。

しかし、この経験を通じて早期発見と医療の進歩を改めて実感しました。

次回以降の記事では、PBCの「検査方法(血液検査、画像診断)」「PBCの治療方法」、そして、「治療後私の結果の推移」について詳しくご紹介しますので、ぜひご覧ください。

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