ハイブリッドワークの限界と、次に来る“目的ベース”の働き方とは

会社と働き方の未来

リモートと出社を組み合わせたハイブリッドワークが広く浸透し、かつては革新的だった働き方も今や当たり前になりました

しかし一方で、出社と在宅の線引きが曖昧なままでは、情報格差やチーム内の分断、モチベーションの低下といった課題も生まれています。

また、働き方の選択肢が広がったことで、「自由であればあるほど良い」という考えが先行し、チームとしての一体感や生産性の維持が難しくなっているという声も増えてきました。

こうした背景から、企業も個人も「ただ柔軟に働く」だけでは持続可能でなくなりつつあり、次のステージとして、働き方の“目的”を問い直す必要に迫られているのです

このまま目的なき柔軟性に頼り続ければ、チームの創造力は低下し、働くことの意義や満足感も損なわれかねません。

正直、リモートと出社を使い分けるだけでは限界を感じています。何を軸に働き方を考え直せばいいのか迷っています

りょうま
りょうま

それこそが「目的ベースの働き方」への転換点です。柔軟性に目的を重ねることで、組織の一体感と生産性は確実に進化します

そこで注目されているのが、“フレキシブル×目的志向型”の働き方です

これは、働く時間や場所に柔軟性を持たせながらも、「何のために働くのか」「どのように成果を生むか」という目的を明確にし、個人とチームが共に価値を創出できる状態を目指すスタイルです

単に「どこでも働ける」ではなく、創造性やエンゲージメントを高めるために、柔軟性を“戦略的”に活用することが鍵となります。

本記事では、“フレキシブル×目的志向型”という次世代ワークスタイルの考え方を軸に、その背景にある課題、注目企業の実践事例、そして今後の未来像を多角的に深掘りしていきます

働き方は“場所”から“目的”へ 〜ワークスタイルの再定義〜

ハイブリッドワークが定着した現在、「どこで働くか」という議論は一巡し、次は「なぜそこで働くのか」という“目的”に焦点が移り始めています。

以下では、ハイブリッドワークの限界とその先にある新しい働き方の価値観を探ります。

ハイブリッドワークの定着と限界

ハイブリッドワークは、場所に縛られない柔軟な働き方として企業と個人の双方に歓迎されてきました。

しかし、導入から数年が経過した今、単に出社とリモートを組み合わせただけでは課題が解決しきれない現実も見えてきました

うちも出社を推奨し始めましたが、逆に社員の反発があって悩んでいます

りょうま
りょうま

出社を目的のある行動に変えることで納得感が生まれます。「なぜ出社するのか」を一緒に考える文化づくりが鍵です

例えば、出社・在宅の使い分けが曖昧なままでは、チーム内の情報格差が生じたり、コミュニケーションが希薄になったりする恐れがあります。

また、出社を強制する動きが逆にエンゲージメントを下げる要因ともなりかねません。

今後は「何のためにその場に集まるのか」「出社にどんな意味を持たせるのか」といった、目的ベースの働き方設計が求められているのです

生産性重視から“意味ある働き方”重視へ

従来の働き方改革では、効率化や生産性向上が大きなテーマでしたが、次世代の働き方では「意味」や「納得感」が重要な軸となっています。

社員が自らの働き方を自律的に選択できる環境が整えば、単なる効率を超えて、個人の意義やチームの創造性に焦点を当てることが可能になります。

つまり、働くことの“質”に向き合う時代に移行しているのです

企業にとっては、従業員の動機づけや共感をベースにした制度設計と、心理的安全性を支える組織文化の再構築が不可欠となります。

「出社不要」の時代は終わり、“一緒に働く場”の大切さが見直されている

リモートワークの広がりとともに、「オフィスはもういらないのでは?」という声も一時的にありました。

しかし、オンラインだけではなかなか難しい「仲間との信頼関係づくり」や「偶然の会話から生まれる新しいアイデア」の大切さが、あらためて注目されています

今のオフィスは、ただ仕事をする場所ではなく、みんなで話し合い、意見を出し合って、新しい価値を生み出す「アイデアが生まれる場」としての役割が求められています。

単なる出勤ではなく、「この日に行きたい!」と思えるような、目的のある空間づくりが、これからのオフィスや働き方のカギになっていくでしょう。

柔軟な働き方のその先にある「目的を意識した仕事のスタイル」とは?

これからの新しい働き方として注目されているのが、「目的を意識した仕事のスタイルです。

これは、働く時間や場所を自由に選べるだけでなく、チーム全体で同じ目標や使命に向かって取り組むという考え方です。

ただ働きやすい環境をつくるだけではなく、「会社全体でどう成果を出すか」「どう価値を生み出すか」といったことも意識した運営が求められます。

このような働き方は、社員一人ひとりが自分で考えて動ける力(自律性)と、会社としてまとまりを持つ力(チームワーク)の両方を高める可能性があり、「社員が長く働き続ける」ことと「高い成果を出す」ことを両立できる、企業にとっても魅力的な選択肢と言えるでしょう

注目企業に学ぶ “フレキシブル×目的志向型” 働き方の実践

“フレキシブル×目的志向型”という働き方には、私自身も大きな可能性を感じています。

ただ、この考え方は少し抽象的で、わかりにくいかもしれません。

そこで今回は、実際にこのスタイルを導入し、成果を上げている企業の事例を紹介しながら、その具体的な意味や効果についてお伝えしていきたいと思います。

すでに“目的志向型ワーク”を取り入れ、自社らしいやり方で成果を出している企業は増えています。

そうした企業が、「なぜ出社するのか」「オフィスは何のためにあるのか」といったことをどのように見直し、新しい働き方に活かしているのかを、具体例を通して見ていきましょう。

株式会社SmartHR ―「出社する意味」を大切にした新しい働き方

人事・労務のクラウドサービスを提供しているSmartHRは、働き方の柔軟性に積極的に取り組んでいる注目の企業です。

この会社では、「なぜ出社するのか」を社員一人ひとりが考えて判断する「意味のある出社」を大切にしています

普段の仕事はほとんどがリモートでできますが、あえて出社する日は、「チームで顔を合わせて話したい」「ちょっとした雑談からアイデアを得たい」など、“人とつながること”に価値を置いています。

オフィスはそうした交流の場として工夫されていて、出社は義務ではなく“選べるもの”。

それでも、「出社する意味」がはっきりしていることで、チームのつながりやコミュニケーションが深まり、仕事の質も高まっています。

さらに、どのように出社するかは各チームで自由に決めることができ、社員の納得感と自主性を両立している点も特徴です

フレキシブルでありながら、目的意識を持った働き方の好例といえるでしょう。

freee株式会社 ― チームの創造力を引き出すオフィスの工夫

会計や人事などのクラウドサービスを提供するfreeeは、スタートアップらしい柔軟で革新的な働き方を実践している企業のひとつです。

freeeでは、オフィスを「ただ働く場所」ではなく、「チームで集まり、新しいアイデアが生まれる場所」として位置づけています

ふだんの業務はリモートが中心でも、「対話をしたいとき」「チームで何かを生み出したいとき」など、“集まる理由”がある場面では出社を推奨しています。

オフィス内には、ちょっとした会話が生まれやすいスペースや、好きな場所で働けるフリーアドレスエリアがあり、自然と人が集まって話しやすい工夫がされています。

こうした空間づくりが、メンバーのアイデアをつなげ、チームの創造性を引き出すきっかけとなっているのです。

結果として、freeeのオフィスは、イノベーションを生み出す「場」として、組織全体の活性化にもつながっています

Sansan株式会社 ― オフィスを「共につくる場」へ進化させる

名刺管理サービスをはじめ、ビジネスの出会いを支援するITサービスを展開しているSansanは、オフィスを単なる作業の場ではなく、「共に創るための拠点」として再定義しています。

日々の業務はオンラインでも問題なく進められますが、Sansanではあえて「リアルな場」でしか得られない価値を重視し、オフィスを再設計。

例えば、ちょっとした会話から新しいアイデアが生まれるような偶然の対話や、若手社員が先輩の働きぶりから学べる「背中を見せる機会」などを、意図的に仕組んでいます

また、役職や部署に関係なく誰でも気軽に使えるオープンスペースを設けることで、部門の垣根を越えた交流が自然と生まれるようになっています。

このような工夫により、オフィスは“人と人がつながり、共に新しい価値を創る場所”として、Sansanの企業文化を支える重要な役割を担っています。

実践から見えてきた「これからの出社の価値」

ここまで紹介してきた企業事例からわかるのは、今の働き方においては「出社するか、しないか」という単純な二択ではなく、「なぜ出社するのか」「どのように出社するのか」が重要になっているということです

出社は単なるルールや習慣ではなく、チームの創造性を高めたり、人と人がつながるきっかけを生んだりする、“意味のある行動”へと進化しています。

そのためには、社員一人ひとりが「なぜ今ここで働くのか」を考え、自分の意志で行動できるような企業文化が欠かせません。

企業側には、ただ制度や仕組みを整えるだけでなく、「出社したくなる理由」や「出社することで得られる価値」を明確にし、社員が納得して動けるような工夫が求められています

次世代ワークスタイルを支えるキーワードと未来像

これからの働き方を語るうえで、単なる制度や働く場所の柔軟性だけでなく、「働き方そのものの質」や「働く体験の向上」に目を向けることが重要になってきています。

テクノロジーの進化、価値観の多様化、ライフスタイルの変化などにより、私たちの働き方も次なるフェーズに進化する必要があります。

ここでは、“フレキシブル×目的志向型”の働き方を支える4つのキーワードを紹介し、それぞれの背景とともにその意義を解説します

アダプティブワーク(適応型働き方)の台頭

予測が困難で変化のスピードが速い現代では、全社員が同じ時間・同じ場所で働くといった一律の勤務制度では、業務効率や働きやすさに限界が生じています。

そこで注目されているのが「アダプティブワーク」、つまり環境や状況の変化に応じて、個人やチームが自律的に働き方を選び、調整していくスタイルです

たとえば、集中力が求められるエンジニアや企画職はリモートで作業し、対話や意思決定が重要な営業会議やワークショップは出社して行うといった使い分けが挙げられます。

また、育児や介護と仕事を両立する社員が、時間帯を柔軟に調整して働くことも、アダプティブワークの一例です。

このように、「誰が・いつ・どこで・何をするのが最適か」を目的ベースで判断する点が特徴です。

こうした柔軟な選択肢は、生産性を高めるだけでなく、多様なバックグラウンドを持つ人材が長く活躍できる環境づくりにもつながります。

企業に求められるのは、固定的なルールを押し付けることではなく、社員が状況に応じて最適な働き方を選べる“余白”を制度として用意することです

多様な働き方を認めたいとは思っていますが 制度設計が難しくて手が止まっています

りょうま
りょうま

すべてを完璧に整える必要はありません。まずは現場から小さく始めることがアダプティブワークの第一歩です

アダプティブワークは、自由度の高い働き方でありながら、成果と組織力を両立させるための戦略的なアプローチとして、次世代のワークスタイルの中心になっていくでしょう

 ウェルビーイングと働き方の融合

働き方改革の一環として、長時間労働の是正や有給休暇の取得促進が進められてきましたが、これらの外面的な制度改善だけでは、従業員のモチベーションやパフォーマンスの持続には限界があります。

そうした中で注目されているのが、「ウェルビーイング(Well-being)」の視点です。

ウェルビーイングとは、単なる心身の健康にとどまらず、「仕事のやりがい」「人間関係の質」「心理的な安心感」など、働く体験そのものの充実を意味します。

たとえば、週に1回、チームで“気持ちを共有する雑談タイム”を設けたり、業務とは直接関係のない個人の目標やライフスタイルについても上司と話せる1on1ミーティングを導入したりする企業も増えています。

こうした取り組みが、日常の業務の中に自然にウェルビーイングの考えを組み込む例です。

また、オフィス内にリラクゼーションスペースや瞑想ルームを設けたり、社員の気分やストレス状態を可視化できるアプリを導入することで、メンタルケアの質を高める企業もあります。

これにより、従業員は自分が大切にされているという実感を得やすくなり、働くことそのものへの満足度が高まります。

結果として、社員の幸福感が向上し、離職率の低下、エンゲージメントやチーム力の強化といった好循環が生まれます

ウェルビーイングの重視は、単なる“優しい会社づくり”ではなく、企業の持続的成長に欠かせない経営戦略の一部なのです。

テクノロジーで進化する「働く体験」

リモートワークやハイブリッドワークが定着する一方で、「雑談の機会が減った」「社員の様子が見えにくい」といった新たな課題も浮き彫りになっています。

そこで今、注目されているのが、AI、VR、メタバースなどの先端テクノロジーを活用した“働く体験”の進化です。

たとえば、ある企業ではメタバース空間にバーチャルオフィスを設け、アバターで出社・退勤や雑談ができる環境を整備しています。

これにより、物理的に離れていても「一緒に働いている」という実感を持ちながら業務を進めることができ、リモートによる孤立感を軽減しています。

また、AIチャットボットを導入し、社内の業務マニュアルや手続きの問い合わせに自動で対応することで、従業員の時間を節約し、本来の業務に集中できるようにしている企業もあります。

こうした仕組みは、情報共有のスピード向上にもつながります。

さらに、ウェアラブルデバイスと連動したストレスチェックや、働きすぎをアラートする勤怠アプリなどを活用して、メンタルヘルスや業務状況をリアルタイムで可視化し、マネジメントが適切にサポートできる体制を整える動きも広がっています。

これらのテクノロジー導入は、単なる業務効率の向上だけでなく、「人とのつながり」や「安心して働ける環境づくり」を支える存在として、より“人間らしい働き方”の実現を後押ししています。

デジタル技術と人間性の調和が、これからの働く体験の質を決める重要なカギとなるでしょう

組織文化とエンゲージメントの再構築

リモートワークやフレックス勤務が一般化する中で、「社員同士の雑談が減った」「新入社員が企業文化を感じにくい」といった声が多く聞かれるようになりました。

物理的に同じ場所にいない働き方が増える中で、組織としての一体感や共通の価値観をどう維持・醸成していくかが、企業の重要な課題となっています。

そのような背景から、地理的な距離に関係なく「つながり」や「共通の目的」を感じられる組織文化の再構築が求められています。

たとえば、ある企業では毎月の全社オンライン朝礼で経営陣がビジョンや現在の挑戦を語り、社員が自由にチャットでリアクションできる場を設けることで、日々の業務と組織の目標をリンクさせる工夫をしています

こうした場は、情報共有だけでなく、社員が「組織の一員である」と感じる大切な機会となります。

また、オンライン上でも感情が交差する“場づくり”として、雑談専用のチャットルームやバーチャルランチ会、離れて働く仲間への「ありがとう」を贈れるピアボーナス制度などを導入する企業も増えています。

これにより、直接顔を合わせなくても、心理的な距離を縮めることが可能になります。

さらに、新入社員や若手向けには、バディ制度を通じた1on1の交流や、定期的な“カルチャーフィット”面談を実施することで、企業文化への理解と共感を深める機会を意図的に設けている企業もあります

このように、オンライン環境下でも「目的の共有」「感情の共有」「文化の共有」を可能にする仕組みが、エンゲージメントの維持と企業競争力の強化につながります

組織文化を“意図して育てる”姿勢こそが、これからの時代の組織経営の鍵となるでしょう。

オンライン中心だと新入社員の定着に不安があります。文化ってどうやって伝えればいいのでしょうか

りょうま
りょうま

日常の小さな交流に企業文化の種があります。定期的な対話や儀式的な場が「らしさ」を育てるんです

まとめ

ハイブリッドワークが当たり前となった今、働き方の焦点は「柔軟性をどう確保するか」から、「その柔軟性をどのように目的に結びつけるか」へと移行しています

フレキシブル×目的志向型”のワークスタイルは、単に時間や場所にとらわれない働き方ではなく、働く意味や価値を再定義し、個人とチームのパフォーマンスを最大化する新しいスタンダードになりつつあります。

さらに、次世代の働き方を支えるキーワードとして、「アダプティブワーク」「ウェルビーイング」「テクノロジーの活用」「組織文化とエンゲージメントの再構築」が挙げられます

これらはすべて、「働くことの質」や「人とのつながり」「心理的安全性」といった、目には見えにくいけれど本質的な価値を高めるための要素です

例えば、社員が自分のライフスタイルに合った時間や場所を選べる仕組み、感情を共有する場づくり、AIやメタバースによる新たな業務体験の創出など、すでに多くの企業が実践を始めています。

これらの取り組みは、社員一人ひとりが「自分らしく働ける」だけでなく、組織全体としての一体感や創造性を高める土台ともなります。

今後、これらのワークスタイルを一気に会社全体で導入するのではなく、まずは事業部や部門単位で試行的に取り組み、仕事の内容や特徴に応じた最適な形を探ることが現実的なアプローチです。

全社で一斉に取り組むのは現実的に難しいです。まず何から始めればよいでしょうか

りょうま
りょうま

まずは部や事業単位でスモールスタートを切るのが効果的です 取り組みの成果を確認しながら段階的に広げることで、無理なく浸透させていけます

そのうえで、成果や課題を見極めながら段階的に広げていくことが、無理なく持続可能な働き方改革につながるのではないでしょうか。

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