2016年に人工関節置換術後に経験した深部感染。
その記憶が薄れつつあった2018年、再び感染の再発という厳しい現実に直面しました。
再発の知らせを受けた時、過去のつらい治療が鮮明によみがえり、頭が真っ白になりました。
特に、今回は感染が深刻化し、循環洗浄の可能性も示唆され、不安と恐怖で心が押しつぶされそうでした。
しかし、主治医の適切な判断のもとデブリードマン(感染部位の洗浄)を選択し、毎日の治癒経過を見守りながら、なんとか1か月半で退院することができました。
この記事では、再発の経緯や治療、回復までの道のりを詳しくお伝えします。
1度目の深部感染については以下の記事をご覧ください。
深部感染の再発とは
2018年11月、左足の手術跡に直径1cmほどの肉芽が突然現れました。
忙しい仕事や風邪による免疫力低下が原因と考えられます。
主治医の診察を受けたところ、深部感染の再発と診断され、即座に入院し、抗菌薬の投与とデブリードマン(洗浄手術)を行うことになりました。
肉芽が表面に突出した理由
肉芽とは、感染や炎症に対する体の防御反応で、新たに形成される柔らかい組織です。
傷の治癒過程でよく見られ、赤く盛り上がった状態になることが多いものです。
肉芽の形成は、感染部位を封じ込めようとするもので、菌の力が強くなったので、肉芽が表面に押しだされたみたいです。
主治医は「深部感染の再発」と診断
2018年11月2日に主治医に診てもらったところ、深部感染の再発と診断され、11月5日に入院、11月6日に手術を行うことが決まりました。
深部感染の発症理由
深部感染が再発した理由として、私自身の場合、以下の2つが大きく影響していたと考えられます。
免疫力の低下
仕事の忙しさから、頻繁な出張や移動が重なり、体力を消耗していました。
その結果、免疫力が低下し、体が感染症に対する抵抗力を失っていたことが考えられます。
感染症のリスク増加
再発前の10月下旬から風邪をひいており、風邪のような感染症は、体内の他の部位へ感染が広がりやすくなります。
そのため、足の深部にも感染が及び、再発を引き起こした可能性が高いと感じています。
再発した深部感染の治療
手術では、感染部位を徹底的に洗浄し、病原菌を除去するデブリードマンを実施しました。
術後、重度の感染症に効果がある抗生物質「ザイボックス」を投与しましたが、効果が見られず、「ダラシン」に変更したところ、症状が改善しました。
感染した菌は常用菌
深部感染の再発で確認された菌は、1度目の感染と同じ常用菌(常在菌)でした。
この菌は、健康な人の体内や皮膚に自然に存在する無害な菌で、むしろ体を病原菌から守る役割を果たしています。
しかし、私の場合は免疫力が低下し、手術や傷から体内に侵入して感染を引き起こしたと考えられます。
どこにでも存在する菌が原因だったため、「まさか」という思いがありましたが、免疫力低下のリスクを改めて痛感する出来事となりました。
今回もデブリードマンを選択した理由
私の人工関節は、骨と一体化して非常に安定しているため、取り外して洗浄や再置換を行うことが非常に難しい状況でした。
1度目の深部感染再発時も、この理由からデブリードマン(感染部位の洗浄と除去)を選択し、治療を進めました。
今回も同じ状況であったため、まずは人工関節を残したまま洗浄するデブリードマンが最適な治療法と判断されました。
安定した人工関節を維持しながら感染を取り除くための選択肢として、再びこの方法が選ばれました。
深部感染の治癒判断基準と循環洗浄を回避できた理由
深部感染が治癒しているかどうかは、傷口の状態と炎症反応(CRP)の改善を基準に判断します。
傷口からの出血や浸出液が止まり、きれいに閉じていることは治癒の重要なサインです。
また、CRPの数値が下がることで、体内の炎症が収まったと判断されます。
私は毎日傷口の状態を見ながら、一喜一憂する日々を過ごしていました。
今回、これらの基準を満たしていたため、恐れていた循環洗浄を行う必要がありませんでした。
治癒に向かっていると確認できたことに大きな安堵を感じています。
手術後の経過
2018年11月5日に入院し、11月6日に手術を受けました。
手術後は、傷口の状態とCRPの値を確認する日々が続きました。
特に主治医からは、傷口が2週間以内に閉じない場合は再度循環洗浄を行うと言われていたため、毎日傷口の状態を確認していました。
手術後の治癒状況の経過
- 術後1日目:出血用のドレーンを抜く。
- 術後2日目:尿の管が取れ、車椅子でのトイレが許可される。
- 術後3日目:出血が続き、ガーゼ60枚が必要。
- 術後5日目:出血が少なくなり、患部に腫れや赤みがない。
- 術後6日目:主治医が「2週間をめどに傷口が閉じなければ循環洗浄する」と言う。
- 術後9日目:傷口が閉じかけていたが、主治医が再度こじ開ける。これは内部の感染確認と再発防止のため。
- 術後13日目:傷口が閉じかけているが、再度こじ開けず様子を見る。
- 術後15日目:ザイボックスが効果がないため、投与を中止。
- 術後17日目:傷口に水泡(浸出液が溜まる)ができる。
- 術後21日目:水泡が大きくなる。水泡が小さくなるまで待つ。
- 術後22日目:抗生物質を「ダラシン」に変更。
- 術後23日目:水泡が小さくなり、主治医が「ダラシンのおかげで先が見えてきた」と言う。
- 術後27日目:歩行器を使ったリハビリを開始。
- 術後37日目:水泡が固くなり、傷口はガーゼからバンドエイドに変わる。
- 術後42日目:CRPの値が0.5に下がり、傷口がきれいになり、退院の許可が出る。
- 術後43日目:12月19日に1本杖を使って退院。
まとめ
深部感染の再発を経験し、再び困難な治療に向き合った今回の体験は、私自身にとっても大きな挑戦でした。
感染の診断を受けた際には不安でいっぱいでしたが、適切な治療と主治医の判断により、循環洗浄を回避し、1か月半で退院することができました。
治療の過程では、傷口の経過やCRPの数値を毎日確認し、一喜一憂する日々が続きました。
主治医からは「体内に菌が残っている可能性があるため、今後は風邪をひかないことや感染症への注意が必要」と強く指導されています。
今回の経験を通じて、体調管理の重要性を改めて実感しました。この実体験が、同じような状況で悩む方々の参考になれば幸いです。