変形性股関節症を抱えながらも治療を後回しにしていた私の左股関節は、手術時には「非常に厳しい状態」と診断されました。
主治医からは「日本で3本に入るくらい難しい手術だった」と術後に言われるほどの難易度だったそうです。
それでも、手術は無事成功し、一歩ずつリハビリを進めています。
まだ、杖が必要な生活ではありますが、次に控える右股関節の手術に向けて準備を進めているところです。
この記事では、左股関節の手術に用いられた方法や、術後の経過、リハビリのプロセスについて詳しくご紹介します。
同じように手術を検討している方や、変形性股関節症の痛みに悩む方々の参考になれば幸いです。手術の詳細を知りたい方、ぜひご一読ください!
人工関節置換術
私の場合、両股関節の人工関節置換が必要でしたが、まずは状態の悪い左股関節から行うことになりました。
人工関節置換術とは
人工関節置換術は、変形性関節症や関節リウマチなどで損傷した関節を、人工の関節(インプラント)に置き換える手術です。
主に膝や股関節で行われ、痛みの軽減や関節の機能回復を目的とします。
損傷した関節部分を除去し、金属やポリエチレン製の人工関節を骨に固定します。
これにより、摩擦や痛みが改善され、日常生活が大幅に向上します。
手術には前方アプローチや後方アプローチなどの方法があり、患者の状態に応じて最適な手術法が選ばれます。
私の場合は、股関節の状態が悪かったので、後方アプローチ股関節置換術になりました。
術式は、後方アプローチ股関節置換術
後方アプローチ股関節置換術は、股関節の後方から切開して行う人工関節置換術です。
この方法では、筋肉や腱を切離することで股関節に直接アクセスし、損傷した関節部分を除去して人工関節を挿入します。
この手技のメリット、デメリットは、次のようになっています。
メリット
後方アプローチ股関節置換術は、手術中の視野が広く、関節の位置を正確に調整しやすいことが特徴です。
また、大腿骨や骨盤の複雑な変形にも対応可能で、多くの症例に適用できます。
デメリット
後方アプローチは筋肉や腱を切離するため、術後の回復に時間がかかる場合があります。
また、脱臼のリスクが他の手術法よりやや高く、リハビリや日常生活で注意が必要なります。
手術前の準備
最近の整形外科の手術では、入院して翌日に手術が一般的です。
手術前に心電図検査、CT検査、MRIなどを受けました。
その他の準備として、自己血採取がありました。
自己血採取とは
事前に自分の血液を採取して保存し、手術中または手術後に必要になった場合に備える方法です。
私の場合、1回500mlを1週間の間隔をあけて2回採取しました。
自己血採取の理由
手術で自己血を使用する理由は、輸血時の感染リスクや免疫反応を回避するためです。
事前に採取した自分の血液を手術で使用することで、安全性が高まり、合併症のリスクを軽減できます。
私は30年前、手術時の輸血によってC型肝炎になったので納得しました。
以下の記事は、C型肝炎と診断され、苦しい副作用と向き合いながらインターフェロン治療を受けた体験を書いたものです。
今は、C型肝炎の治療では、インターフェロン治療は行われませんが、この治療に興味のある方は読んでみてください。
入院から退院までのプロセスとリハビリ
2016年2月15日に入院し、翌16日に16時から21時までの約5時間に及ぶ難手術を受けました。
術後、主治医から「日本で3本に入るくらい難しい手術でした」と告げられ、非常に重要で困難な手術だったと改めて感じました。
人工関節置換術でのリハビリのポイント
人工関節置換術後のリハビリでは、股関節への過剰な荷重を避けつつ、徐々に負荷を増やすことが重要になります。
術後早期は体重を分散させるために歩行器や杖を使用し、関節を保護しながら筋力とバランスを回復させました。
過度な負荷は関節や周囲の組織を傷つけるリスクがあるため、医師や理学療法士の指導に従い、段階的にリハビリを進めることが回復への鍵になります。
30年前の回転骨切り術後のリハビリとの違い
30年前の回転骨切り術では、骨が安定するまでの1か月間、ベッド上での安静が必要でした。
一方、人工関節置換術では、最新技術の進歩により、手術後の安定性が向上し、早期リハビリが可能になります。
私の場合、術後7日で歩行器を使った歩行が許され、筋力低下を防ぎつつ、回復を促進するプログラムが組まれました。
リハビリの進化は、隔世の感を覚えます。
以下の記事は、30年前、大腿骨頭壊死での手術、回転骨切り術の手術内容、リハビリを記事にしたものです。興味のある方は、読んでみてください。
術後の経過
私の場合、入院して3週間で退院できました。
術後の経過を整理すると以下になります。
- 術後2日目:尿の管が取れ、車椅子でトイレが許可されました。
- 術後7日目:リハビリ室で歩行器訓練開始。
- 術後8日目:リハビリ室で松葉杖の歩行訓練開始。
- 術後9日目:松葉杖で左足に100%荷重開始。
- 術後15日目:松葉杖の1本杖で病院の外を1周。
- 術後17日目:抜糸とシャワーの許可が出ました。
- 術後20日目(2016年3月7日):退院。
退院後のリハビリ
退院後のリハビリは、週3回通い、理学療法士の指導のもと、筋力を強化するためのエクササイズ(例:脚の上げ下げ、階段の昇り降り)を行っていました。
退院後の注意事項
後方アプローチ股関節置換術では、股関節を支える筋肉や腱を切離したため、人工関節の位置がずれやすくなる、つまり脱臼しやすい状態になります。
脱臼予防が一番重要で、股関節の過度な屈曲や内旋を避けるよう強く言われました。
そして、脱臼予防として、「避けるべき姿勢」「推奨される姿勢」を教えてもらいました。
避けるべき姿勢や動作
- あぐら:股関節を大きく外旋(足を外に開く動き)するため、脱臼のリスクが高まる。
- 深くしゃがむ:股関節が90度以上屈曲すると、脱臼の可能性が高まる。
- 脚を内側に交差する動き:脚を内側にクロスすると、関節が不安定になる。
推奨される姿勢
- 膝を腰より低い位置に保つ:椅子やクッションを使って腰を高めに保つ。
- 脚を軽く外側に開く:座っているときや横になるときは、股関節を自然な外旋位に保つ。
- 直立姿勢を維持する:歩行や立ち上がりの際には、股関節をまっすぐに保つ。
まとめ
今回の左股関節の人工関節置換術では、変形性股関節症の進行により、後方アプローチを採用し約5時間に及ぶ難手術が行われました。
術後は段階的なリハビリを進め、杖を使用しつつも日常生活への復帰を目指していました。
ただ、手術から1か月後にCRP値が大幅に上昇して、深部感染が発症。
即入院して、2度の洗浄手術と2か月の入院を余儀なくされました。
次の記事では、この深部感染の経緯と治療について詳しくお伝えします。