リモートワークで正当に評価されてる?社員の不安と向き合う評価制度とは

会社と働き方の未来

コロナ禍を契機に広がったリモートワーク

通勤のストレスが減り、柔軟な働き方が可能になった一方で、「自分はちゃんと評価されているのだろうか?」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

上司の目が届かない環境では、働きぶりが見えにくく、正当に評価されていないと感じるケースもあります。

本記事では、そんなリモートワーク下で起こりがちな評価の課題と、その解決策についてわかりやすく解説します

後半では、企業の実例も紹介しながら、どのような評価制度が現代の働き方にフィットするのかを一緒に考えていきます。

リモートワークの実情

リモートワークは、通勤時間の削減やライフスタイルの多様化に応える柔軟な働き方として注目されています。

特にIT業界やコンサルティング業界では、完全リモートやハイブリッド型勤務を導入する企業が増えました。

一方で、リモートワークには「コミュニケーション不足」「業務進捗の見えにくさ」「孤立感」などの課題も存在します。

中でも企業にとって大きな問題が、従業員の業績評価パフォーマンスの可視化です

リモートワークにおける評価制度の課題

リモートワークの普及に伴い、従来の対面を前提とした人事評価制度では対応しきれない課題が浮き彫りになっています。

以下では、リモート環境特有の評価における主な問題点を4つの視点から整理します。

プロセスが見えにくい

オフィスでは部下の働き方や態度を日々直接見て把握できましたが、リモート勤務では仕事の進め方が見えにくく、最終的な成果物だけで評価せざるを得ないのが現状です

プロセスが不透明になりがちです。

バイアスの影響

上司と部下の接触頻度に差があると、無意識のうちに「認知バイアス」が生まれ、評価に影響を与えることがあります。

たとえば、頻繁に連絡を取る部下のほうが実際の成果に関係なく高く評価されるなど、不公平な判断が下されるケースも少なくありません。

リモート環境では特に注意が必要です。

自己申告の限界

多くの企業では、リモート勤務において自己申告による進捗報告を採用していますが、それだけでは個人の実際の貢献度や、チーム内での役割・バランスを正確に把握するのは難しいのが現実です。

主観が入るため、実際の努力や他メンバーとの協力状況が見えにくくなることもあります。

チーム成果との乖離

リモートワークでは、個人の働きぶりがチーム全体の成果とは切り離されて評価されがちです。

そのため、周囲と協力して成果を出す姿勢よりも、個人の結果だけが重視され、連携やチームワークの重要性が見落とされる傾向があります。

結果として、孤立した働き方が評価されることもあります

課題を解決する具体的な評価方法

リモートワークにおける評価制度の課題を解決するには、従来の方法だけでは不十分です。

プロセスの見えにくさやバイアス、公平性の欠如などに対応するためには、評価の仕組みそのものを見直す必要があります

以下に紹介する4つの方法は、そうした課題に対して具体的かつ実践的な解決策となるものです。

OKR(Objectives and Key Results)やKPIの活用

OKRKPIの導入は、目標と成果指標を事前に明確に定め、それに基づいて評価する方法であり、プロセスが見えにくいリモート環境においても客観的かつ納得感のある評価を可能にします

特にOKRは、チームと個人の目標をリンクさせることで、チームワークと個人の貢献の両方をバランスよく評価できる点が特長です。

360度評価の導入

リモート環境では直属の上司だけでは部下の働きぶりを十分に把握しきれないため、同僚や部下、他部署との連携状況など多面的な視点から評価を行う仕組みが有効です。

360度評価のように複数の立場からの意見を取り入れることで、より公平で客観性のある評価が可能となり、個人の実態をより正確に反映できます。

成果+行動評価のハイブリッド型

成果だけでなく、「報告・連絡・相談」や周囲への配慮協力的な行動なども評価項目に組み込むことで、目に見えにくい努力や貢献を正当に評価できます

こうした行動面の評価は、チーム全体のモチベーションを高めるだけでなく、企業として望ましい文化や価値観を育むことにもつながります。

定期的な1on1ミーティングの活用

週1回や月2回など、定期的に部下と上司が対話する機会を設けることで、リモート環境で不足しがちなコミュニケーションを補い、継続的なフィードバックが可能になります。

これにより、リアルタイムでの方向修正が行えるだけでなく、評価の透明性も高まり、上司と部下の信頼関係の構築にもつながります

リモート時代に対応した評価制度の先進事例

リモートワーク時代に適応した評価制度の実践例として、サイボウズメルカリの取り組みは非常に参考になります。

どちらの企業も早期から柔軟な働き方を推進し、評価制度の改革にも積極的に取り組んできました。

サイボウズOKRと1on1の組み合わせメルカリ360度評価とピアレビューを導入し、それぞれ異なるアプローチでリモート下の課題に対応しています。

株式会社サイボウズの取り組み

グループウェア開発で有名なサイボウズでは、リモートワークが浸透する中で、OKRと1on1の組み合わせによる評価制度を導入しています。

個々の目標をチーム内で共有し、進捗や課題を1on1で確認することで、上司と部下が対話を重ねながら目標達成を目指す体制を構築しました。

<サイボウズ株式会社「働き方改革と人事制度」>

メルカリの360度評価

メルカリでは、部署横断的なプロジェクトが多いため、360度評価を実施し、他部署の視点からのフィードバックも取り入れています。

これにより、チームワークや調整力など、目に見えにくい能力も評価対象に加えられています。

<メルカリのピアレビューと評価制度>

まとめ

リモートワークの普及により、これまでの「顔が見える」ことを前提とした評価制度では、社員一人ひとりの努力やチームへの貢献が見えにくくなっています。

その結果、「本当に自分は正当に評価されているのか」と不安を抱く社員も少なくありません。

こうした課題に対応するためには、成果だけでなく、日々の行動や周囲との連携なども含めて多角的に評価する仕組みが必要です。

本記事では、リモート環境での評価の課題と、安心して働ける環境づくりに役立つ制度の具体策を紹介しました。

社員が納得し、信頼できる評価制度は、モチベーションの向上にもつながります。

企業にとっても、持続可能な働き方の実現には欠かせない取り組みです

 

 

 

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